相続 家の最適な活用法は?売却・賃貸・空き家対策を解説
2025/02/18
「家を相続したけれど、どうすればいいのかわからない…」そんな不安を抱えていませんか?親が亡くなった後、突然の相続で家を受け継いだものの、「住み続けるべきか?」「売却した方がいいのか?」と判断に迷う人は少なくありません。
実は、相続した家をそのままにしておくと、固定資産税の負担や空き家特例の適用外など、予想以上のデメリットが生じることも。特に、相続登記義務化により、3年以内に登記をしなければ最大10万円の過料が科される可能性もあります。
では、相続した家を売るべきなのか、それとも賃貸にするのが良いのか?それぞれの選択肢にはどんなメリット・デメリットがあるのか?本記事では、「相続後の家の最適な活用方法」について、売却・賃貸・活用の観点から詳しく解説していきます。最後まで読むと、自分に合った最適な選択肢が見えてくるはずです。
司法書士あさくら事務所は、皆さまの身近な法務パートナーとして、相続手続き、不動産登記、会社設立など幅広いサービスを提供しております。特に相続や登記申請に関するご相談では、複雑な遺産分割や相続登記、各種登記手続きを丁寧にサポートし、スムーズな解決をお手伝いいたします。法律や書類作成が初めての方にも安心していただけるよう、わかりやすい説明と親身な対応を心がけております。相続や登記申請でお困りの際は、ぜひ司法書士あさくら事務所へお気軽にご相談ください。

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住所 | 〒573-0077大阪府枚方市東香里新町19−19 |
電話 | 072-395-0221 |
目次
相続で家を取得する際の基礎知識
相続とは、故人(被相続人)が所有していた財産を、その権利を有する相続人に承継することを指します。相続には「法定相続」と「遺言による相続」があり、どちらの方法で行われるかによって手続きが異なります。
相続の基本概念と法的な背景
日本では、民法に基づき相続が定められており、法定相続人が相続する割合や手続きについて細かく規定されています。相続の開始は「被相続人の死亡」によって発生し、原則としてすべての財産が相続の対象になります。財産には、以下のものが含まれます。
- プラスの財産:土地・建物(不動産)、現金・預貯金、有価証券、動産(車、貴金属など)
- マイナスの財産:借金、ローン、未払いの税金
マイナスの財産がある場合、相続放棄や限定承認といった選択肢があり、相続人はその財産を受け継ぐかどうかを決めることができます。
相続人には法定相続順位があり、故人と関係が深い親族から順に相続権を持ちます。
順位 | 相続人の種類 | 相続割合(基本形) |
第一順位 | 子(直系卑属) | 配偶者:1/2、子:1/2(複数いる場合は均等割り) |
第二順位 | 直系尊属(父母、祖父母) | 配偶者:2/3、親:1/3 |
第三順位 | 兄弟姉妹 | 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4 |
子がいない場合、親が相続人となり、親もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。また、配偶者は常に相続人となります。
2024年4月1日より、相続による不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。これにより、相続発生後3年以内に登記を行わなければならず、怠ると過料(罰則)が科される可能性があります。
これまで相続登記は任意でしたが、未登記の不動産が増え続けた結果、相続関係が複雑化し、不動産取引や公共事業の妨げになっていました。そのため、国は相続登記を義務化することで、土地の管理・流通を円滑に進めることを目的としています。
義務化の概要と対象者
項目 | 内容 |
対象 | 相続によって不動産を取得した人 |
期限 | 相続発生を知った日から3年以内 |
罰則 | 10万円以下の過料 |
義務化によって、相続人が相続登記を放置した場合、最大10万円の過料が科される可能性があります。ただし、正当な理由がある場合は免除される場合もあります。
登記義務を怠らないためには、相続発生後速やかに必要書類を準備し、登記申請を進めることが重要です。
相続税とは、相続によって取得した財産に課される税金です。ただし、すべての相続財産が課税対象になるわけではなく、基礎控除を超える財産にのみ相続税が発生します。
固定資産税との違い
項目 | 固定資産税 | 相続税 |
対象 | 不動産を所有している人 | 相続で取得した財産 |
課税タイミング | 毎年(1月1日時点の所有者) | 相続発生時 |
計算基準 | 固定資産税評価額 | 相続税評価額 |
固定資産税は毎年発生する税金ですが、相続税は相続が発生したときのみ課されます。
相続税の計算方法と控除制度
相続税の計算は以下のように行います。
- 課税価格の合計(相続した財産の評価額)
- 基礎控除の適用
- 計算式:3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
- 税率を適用して算出
- 課税対象の金額に応じた累進税率(10%~55%)
課税対象額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
これにより、相続財産の評価額が基礎控除額を超えない限り、相続税は発生しません。
相続財産の評価額は、相続税の計算だけでなく、相続人間の遺産分割にも影響を及ぼします。特に不動産の評価は複数の基準があり、それぞれの目的に応じて適用されます。
不動産の相続評価の基準
評価基準 | 説明 |
路線価方式 | 国税庁が定める「路線価」に基づき算出 |
固定資産税評価額 | 市町村が算定する固定資産税の基準 |
実勢価格 | 市場での売買価格(時価) |
路線価と固定資産税評価額の活用方法
- 路線価方式:相続税の計算に用いられ、路線価 × 土地面積で評価額を算出
- 固定資産税評価額:市町村の課税基準となり、相続税よりも低めに評価される
- 実勢価格:市場価格であり、相続人間の遺産分割や売却時の参考になる
不動産の相続評価は、税額や遺産分割に影響するため、専門家に相談しながら適切な評価方法を選択することが重要です。
相続税がかかる家とかからない家の違い
相続税とは、相続によって取得した財産に課される税金です。ただし、すべての相続財産が課税対象になるわけではなく、基礎控除を超える財産にのみ相続税が発生します。
相続財産の評価額は、相続税の計算だけでなく、相続人間の遺産分割にも影響を及ぼします。特に不動産の評価は複数の基準があり、それぞれの目的に応じて適用されます。
不動産の相続評価の基準
評価基準 | 説明 |
路線価方式 | 国税庁が定める「路線価」に基づき算出 |
固定資産税評価額 | 市町村が算定する固定資産税の基準 |
実勢価格 | 市場での売買価格(時価) |
- 路線価方式:相続税の計算に用いられ、路線価 × 土地面積で評価額を算出
- 固定資産税評価額:市町村の課税基準となり、相続税よりも低めに評価される
- 実勢価格:市場価格であり、相続人間の遺産分割や売却時の参考になる
不動産の相続評価は、税額や遺産分割に影響するため、専門家に相談しながら適切な評価方法を選択することが重要です。
この内容により、相続時に家を取得する際の基本的な知識を深く理解し、必要な手続きを進めることができます。
相続手続きの具体的な流れと費用
相続登記とは、相続によって取得した不動産の名義を変更する手続きです。2024年4月1日より義務化され、相続発生後3年以内に手続きを完了しないと過料が科される可能性があります。専門家に依頼せず、自分で行うことも可能ですが、手続きには正確な書類作成と慎重な進行が求められます。
必要書類と取得方法
相続登記を進めるためには、以下の書類が必要になります。
書類 | 取得先 | 説明 |
被相続人の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 出生から死亡までのすべての戸籍が必要 |
被相続人の住民票除票 | 市区町村役場 | 被相続人の死亡を証明する書類 |
相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 相続人の関係を証明するために必要 |
相続人全員の住民票 | 市区町村役場 | 現住所を証明するために必要 |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場 | 登録免許税の計算に使用 |
遺産分割協議書(必要時) | 自分で作成 | 相続人全員の署名と押印が必要 |
登記申請書 | 法務局 | 所定のフォーマットに従って作成 |
必要書類は市区町村役場や法務局で取得できます。取得には手数料がかかる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。
自分で行う場合の具体的な手続きの流れ
- 必要書類の収集
すべての戸籍謄本や固定資産評価証明書を取得。 - 遺産分割協議書の作成(必要な場合)
相続人全員で話し合い、分割内容を決定。 - 登記申請書の作成
所定のフォーマットに従い記入。 - 法務局へ申請
申請は郵送または窓口で提出。 - 登記完了の確認
申請が受理されると、登記完了証が発行される。
自分で手続きを行う場合、誤記や不備があると申請が却下されるため、慎重な確認が必要です。
相続手続きには、登記費用や税金がかかります。特に相続税は一定額以上の財産を相続した場合に発生し、計算方法を正しく理解することが重要です。
法務局での相続登記は、以下の手順で進めます。
- 登記申請書の記入
- 被相続人の情報、相続人の情報を記載。
- 必要書類の準備
- 戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などを揃える。
- 法務局へ申請
- 窓口または郵送で提出。
- 審査と補正対応
- 書類に不備があれば補正を求められる。
- 登記完了の確認
- 完了後、登記識別情報(権利証)が発行される。
法務局での手続きは慎重に進めることが求められます。
相続登記は専門家に依頼することも可能です。
費用と対応範囲の比較
項目 | 自分で手続き | 司法書士 | 税理士 |
費用 | 数千円~1万円 | 5万円~10万円 | 10万円~ |
手間 | 高い | 低い | 低い |
精度 | リスクあり | 高精度 | 高精度 |
専門家に依頼すると手間は省けますが、費用がかかる点がデメリットです。
相続手続きに必要な書類リストと取得方法
書類名 | 取得先 | 必要性 |
戸籍謄本 | 市区町村役場 | 必須 |
住民票 | 市区町村役場 | 必須 |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場 | 必須 |
遺産分割協議書 | 自作または専門家作成 | 必要時 |
必要書類を確実に揃えることで、スムーズな手続きが可能になります。
相続後の活用方法と売却の選択肢
相続した家の活用方法として「売却」「賃貸」「自己利用」の3つの選択肢があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、自分の状況に最適な選択をすることが重要です。
家を売却する場合、現金化できるという大きなメリットがありますが、一方で税金や手続きの負担も発生します。
メリット | デメリット |
まとまった現金が得られる | 譲渡所得税が発生する可能性 |
維持費・管理費の負担がなくなる | 売却までに時間がかかることがある |
空き家の管理リスクを回避できる | 市場価格によっては思うように売れない |
また、相続した不動産の売却には**「取得費加算の特例」**が適用できる場合があり、一定の要件を満たせば税金の負担を軽減できます。
賃貸にした場合のリスクと利回り
賃貸として運用する場合、定期的な家賃収入を得られる一方で、空室リスクや管理の手間が発生します。
メリット | デメリット |
継続的な家賃収入が得られる | 空室リスクがある |
資産として活用できる | 修繕費・管理費がかかる |
長期的な資産形成が可能 | 入居者トラブルが発生する可能性 |
家賃収入を得るためには、賃貸管理会社の利用や家賃保証制度の活用が有効です。また、相続後すぐに賃貸に出す場合は、不動産市場の動向を確認し、適切な家賃設定を行うことが重要です。
相続した不動産を売却する際には、税金や登記手続きが必要になります。事前に理解しておくことで、スムーズに進めることができます。
相続した不動産の譲渡所得税
売却した際の利益には譲渡所得税が課されます。これは「売却価格 − 取得費 − 諸費用」に対して適用されます。
項目 | 内容 |
課税対象 | 売却益(売却価格 - 取得費 - 諸費用) |
税率(5年以下の短期所有) | 約39%(所得税30%+住民税9%) |
税率(5年超の長期所有) | 約20%(所得税15%+住民税5%) |
取得費加算の特例 | 相続発生から3年以内の売却で取得費を加算できる |
特に「取得費加算の特例」は大きな節税効果があるため、相続後3年以内に売却を検討するのも一つの手段です。
売却時の流れと必要な書類
- 不動産の査定を依頼(相場を把握する)
- 売却価格を決定し、売却活動を開始
- 買主と売買契約を締結
- 登記変更手続きを行う
- 譲渡所得税の申告・納税を行う
必要な書類には以下のようなものがあります。
必要書類 | 入手先 |
登記簿謄本(全部事項証明書) | 法務局 |
相続登記完了証明書 | 法務局 |
売買契約書 | 不動産会社 |
身分証明書 | 本人 |
これらの書類を事前に準備し、手続きをスムーズに進めることが重要です。
相続した家を放置すると、税金や管理の負担が増えるだけでなく、行政からの指導を受ける可能性もあります。
空き家を放置するリスク
- 固定資産税が高くなる(特定空き家に指定されると税金が最大6倍になる)
- 倒壊や火災などのリスクが高まる
- 不法侵入や近隣トラブルの原因になる
「空き家特例制度」を活用することで、一定の条件を満たせば譲渡所得税が大幅に軽減されます。
条件 | 内容 |
1981年5月31日以前に建築 | 耐震基準を満たしていない建物が対象 |
相続人が単独で所有 | 共有名義では適用不可 |
売却価格が1億円以下 | 高額売却の場合は対象外 |
これらの条件を満たす場合、譲渡所得から3,000万円を控除できるため、大幅な節税が可能です。
相続した家を賃貸に出すことで、定期的な収入を得ることができますが、税金や管理費が発生する点にも注意が必要です。
賃貸収入には「不動産所得税」や「所得税」が発生し、確定申告が必要になります。
税金の種類 | 内容 |
不動産所得税 | 年間賃貸収入に対して課税 |
所得税 | 所得額に応じて累進課税(最大55%) |
固定資産税 | 土地・建物にかかる税金 |
まとめ
相続した家をどうするかは、多くの人にとって大きな決断です。住み続ける、売却する、賃貸に出すなど、選択肢ごとに異なるメリット・デメリットが存在します。
売却する場合は、まとまった資金を得られる点が魅力ですが、譲渡所得税や手続きの手間も考慮しなければなりません。特に「3,000万円特別控除」などの税制優遇を活用できるかどうかを確認し、適切なタイミングで売却することが重要です。
一方で、賃貸運用は継続的な収益を見込めるものの、管理の手間や空室リスクも伴います。また、家を長期間放置すると「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍になる可能性もあるため、何もしないまま放置することは避けるべきです。
相続した家をどうするかの判断には、将来的なライフプランや税負担を考慮しながら、適切な専門家に相談することが推奨されます。自分にとって最適な選択をするためにも、早めに情報を整理し、必要な手続きを進めていきましょう。
司法書士あさくら事務所は、皆さまの身近な法務パートナーとして、相続手続き、不動産登記、会社設立など幅広いサービスを提供しております。特に相続や登記申請に関するご相談では、複雑な遺産分割や相続登記、各種登記手続きを丁寧にサポートし、スムーズな解決をお手伝いいたします。法律や書類作成が初めての方にも安心していただけるよう、わかりやすい説明と親身な対応を心がけております。相続や登記申請でお困りの際は、ぜひ司法書士あさくら事務所へお気軽にご相談ください。

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よくある質問
Q. 相続登記をしないと罰則はありますか?
A. 2024年4月1日から、相続登記が義務化され、3年以内に登記しないと最大10万円の過料が科される可能性があります。また、登記を怠ると、売却や担保設定ができないだけでなく、特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になるリスクもあります。さらに、相続登記を放置すると、相続人が増え、手続きが複雑化し、分割協議がまとまらずに数十年単位で未登記のままとなるケースもあります。そのため、早めの登記手続きをおすすめします。
Q. 兄弟で相続した家を売却したいが、意見が合わない場合はどうすればいいですか?
A. 兄弟間で意見が合わずに売却が進まない場合、まずは遺産分割協議を行い、売却方針を話し合う必要があります。それでも合意が難しい場合は、家庭裁判所での調停や審判に持ち込むことになります。共有状態のままでは、不動産を売却するにも全員の同意が必要ですが、一部の相続人が持分を売却することは可能です。その際、他の相続人が持分買取を検討するか、不動産会社に持分売却を依頼する方法があります。ただし、持分売却では市場価値よりも安く買い取られることが多いため、最終的には遺産分割協議を進めるのが最善の策となります。
Q. 空き家を相続したが、維持するべきか売却するべきか?
A. 相続した空き家を維持するか売却するかは、固定資産税・管理費・将来的な資産価値を考慮して判断する必要があります。例えば、空き家を維持する場合、年間の固定資産税が10万円~20万円程度かかり、さらに老朽化による修繕費が数十万円~数百万円必要になることもあります。一方で、売却を選択すれば、空き家対策特例を活用し、譲渡所得から最大3,000万円の控除が適用され、税負担を軽減できます。空き家を活用する場合は、賃貸運用やリフォームして売却といった選択肢もありますが、管理負担がかかるため、慎重に検討することが重要です。
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